教習所の人間模様

先日仮免許証をもらう! 素直にうれしいが、正直もうこれで帰ってもよい…ともおもったり。みんなもそうだが、ここに長くいると、免許をとることよりも、早く帰宅するほうが待ち遠しくなるのだ。


合宿教習生がもっとも恐れるのが「延泊」といって合宿期限が延びること。
延長になっても、宿泊費や教習費は保証されているのだが、ただ単にここにいること自体が嫌になってくる。教習合宿は通常よりびっしり授業が詰まっているかと思えば、そうでもなく。一日に2時間しか教習を受けていないこともある。そんな日は周りに何かあるわけではないので一日ただただ時間を過ごしている。恐ろしく暇なのだ。 われわれ上総教習生にとって一日も早く出ることこそが目的となってしまっている。この心理は当教習生じゃないと実感が湧かないと思う。


そんななか仮免許試験が行われ、友達のSは三回目の不合格となった。その時試験車の後部座席に乗っていたが、停止線をほんの少し越えたことにより即失格となった。つまりその時点で延泊3日目が決定。


Sさんは中国から来ている友人である。
彼女は「車を降りましょうか」と教官にいわれると固まった。
本当に信じられないという顔で教官の横顔をのぞき、反応がないと
あきらめ ハンドルに顔を倒した。
「納得がいかない、こんな風に落ちるのは納得がいかない」と繰り返していた。


彼女は交差点前で方向を確かめたのだったが、
教官の返答が無く、答えを求めその顔を覗いているうちに停止線を越えてしまった。
彼女としては、方向を問うてうんともすんとも言わない教官を責めたく
また、こんな小さな点で失格となり、もう一日伸びることにやりきれなさを感じていた。


彼女の気持ちも痛いほどわかる。
小さな点も大事だが、重箱の隅をつつくような採点は実際必要かという感想。

そしてそれ以上に、一日伸びることをなんとしても避けたい気持ち。